帝和建設
会長室の前にはガードマンが立っている。
秘書 「失礼します。」
秘書が入る前に扉を開けようとする船木。
船 「失礼します。
どうされたんですか。昼間からカーテンをこんなに閉め切られて…」
き 「お太りになられましたね。…防弾チョッキを身につけなければならないほど
身に危険でも？」
船 「何におびえているんですか。話して下さい！大野さん」
大 「…私も殺される…」
船 「どうしてですか」
大 「ダム建設の裏取引に…中国側のある組織がからんでいた」
船 「その組織の名前は１２１１というんじゃないですか」
き 「そうなんですね」
大 「やつら…口封じのために…二人を」
船 「あの二人と１２１１に不正な金が流れたんですね」
き 「大野さん。あなたが渡したんですね。」
船 「なら…やはり１２１１が王凱歌を使って…」
大 「次は…私だ」
大野会長の画面が写真になる。
日本語学校
コ 「これが次の標的だ…」
凱 「捜してくれた人は、母ではありませんでした」
コ 「今度は建設会社の会長だ」
凱 「(即答)やりません」
コ 「これが最後だ」
凱 「母がみつかってからです。」
コ 「(笑う)わがままいうなよ。カイコーちゃん。
(立ち上がってホイの後ろにまわる)
なんなら、このわたしがあなたのお母さんの代わりをやってあげましょうかあ
ボタンはずして、パイパイだしてチュチュチュッてか？」
振り払う凱歌。
コ 「なんだよぉ。なら一人でみつけられんのか！！
こっちはちゃんとみつけたよ。(写真をだし凱歌につきだす。)
まちがいないだろ…裏に住所が書いてある。
(写真の裏をチラッとみせて、すぐポケットにしまいこむ。)
仕事を済ませろ…そうすれば会える。この仕事からも足を洗えるんだ。
…時の流れは残酷だが…運命もまた"ざん・こく・だ"」
凱 「(コーの言葉がひっかかる)…どういう意味ですか？」
コ 「意味はない。仕事を済ませろ！王凱歌！」
警視庁 国際部国際二課
上司を連れて、船木がやってくる。
船 「王凱歌のプロフィールがわかりました。香港の警察も彼を追っていたようです。」
榊 「未確認だという事を条件にデータを送ってもらいました。」
清 「おまたせしました。王凱歌のデータです。」
書類を配る清水。
榊 「８才の時に射撃のオリンピック育成チームに入る。１８才の時に養成所から
逃げ、数年の逃亡生活の後、１２１１の組織に助けられる。」
黒 「プロとして雇われたんですなぁ。」
榊 「まあ。それだけなんですが…実は…新たにちょっと驚く事が…」
き 「何ですか？」
榊 「王凱歌は…」
船 「何ですか？」
榊 「未確認ですよ」
き 「(いらつき)何？！」
榊 「王凱歌は…中国人と日本人のハーフらしい…」
矢 「ハーフ？」
清 「日本人との？」
みんなが驚く中、携帯の着信音(男はつらいよ)が鳴る。
きなこ携帯をバックから取り出す。
船 「未確認でいいんで、他にまだ情報ありますか」
榊 「いや。これ以外は…」
き 「も…もしもし…あぁ。何？」
地下鉄桜田門前 入口
雁太郎がきなこを待つ。
き 「父さん！お父さん！」
きなこ横断歩道を渡り、雁太郎に近づく。
雁 「おっ！ややや。ワリイな。仕事中によぉ」
き 「あぁ。お父さんこそ。いいの？お店の方…」
雁 「ホイさんに任せた！」
き 「ひっど(笑)」
雁 「あぁ。それとよう。頼みがあんだけどさぁ。おまえ警視庁で事務やってんだろ？」
き 「そうだけど…」
雁 「人捜ししてくんねぇかなぁ。デカにダチいるんだろ？」
き 「誰、捜すの？」
雁 「いやぁ…あんなぁ…ホイさんに頼まれたんだよ。」
バックから写真を取り出そうとする。
き 「ホイさんに？」
雁 「う〜ん。人捜ししてるんだとさ。」
き 「人捜しって…あたしにはそんな事何にも…」
雁 「捜しているのはこの人だってよ」
写真を取り出し、きなこに見せる。
き 「日本人じゃない」
雁 「島村市江さん…っていうだそうだ」
大野会長夫人を思い出すきなこ。
(回想(伝法院通り)) き 「もしかして…いないの？お父さんとお母さん。」
ホイが寂しそうな顔をするのを思い出す。
大野邸
『大野源氏・市江』表札をみるきなこ
家の中。きなこにお茶を差し出す市江。
き 「突然、お訪ねして申し訳ありません…(お茶を置かれ)すいません」
市 「この間…主人の会社で…」
き 「はい」
市 「何でしょうか？」
き 「…(困って)りっぱなお宅ですよね。うちなんてそこのお庭より狭いです」
市 「ご用がおありなんじゃ…」
き 「…(大野夫妻のスナップ写真を見る)奥様…ご主人とはいつご結婚を…」
市 「２０年ほど前になりますけど…」
き 「あの…お子さんは…」
市 「ありません」
き 「そうですか」
市 「なぜ…そんな事を？」
き 「あなたを…捜している人がいるんです」
市 「あたしの事を？」
き 「３０代の中国人の男性です」
驚いて固まる市江。しばらくして、我に返りきなこに微笑む。
き 「失礼します」
ガードレール下コインロッカーの前
コインロッカーに鍵を差し込む凱歌。
ロッカーを開けて、中のバックを取り出そうとするが、すぐロッカーを閉める凱歌。
５才の時の事を想い出す。
大野邸
市江も同じく想い出していた。
５才の凱歌の写真をなでる。
回想 １７年前 中国 王家跡
市江が家に入る。荒れ果てている。
壊れた家族の写真を拾う。
隣家の女性 「(中国語)市江さん」
市 「(中国語)わたしの家族は？」
女 「ご主人は亡くなった…おじいちゃんも…」
市 「凱歌は、どこに？」
女 「わからない…」
中国の街。人混みが流れる。
市 「(中国語)人を捜しているんですが…この子を見たことはないでしょうか？」
いろんな人に写真を見せる。
市 「(中国語)今、１８才になっているんです。」
人々 「(中国語)見たことないなぁ」
すっかり気落ちする市江。
大 「何か…お困りですか？」
振り向くと、大野会長が立っていた。
料理屋。
大 「別れたお子さんをお捜しで…」
市 「えぇ」
大 「離ればなれで、さぞ。おつらいでしょう」
市 「はい…(涙ぐむ)」
大 「私は仕事でこちらに来ているんですが、日本大使館に知り合いがいます。
よろしかったら頼んでみましょうか？」
市 「本当ですか」
大 「えぇ。お力になりますよ。」
市 「お願いします。」
養成所。
所長 「(中国語)彼は先月、ここから逃亡しました。」
市 「なぜ？」
所長 「次のオリンピックが名古屋になる事を楽しみにしていました。
それがソウルに決まった晩に…」
大 「それじゃ…君の息子は…」
市 「日本に来るつもりだったのね」
同日 大野邸
写真を抱きしめる市江。
市 「日本に…」
夜 紅龍
牛田がのれんを取り込む。
円道寺家 物干し台
きなこがホイを待つ。
ホ 「ナ・ニ・カ？」
き 「父さんから聞いた。人捜してんだってね。日本人の女性…あなたの
お母さんくらいの年の(写真をホイに渡す)
生きてるんじゃないの…わかんないか…何言ってっか…」
真剣なまなざしで、きなこをみつめるホイ。
ホ 「…強い者が弱い者に負けるのは…人が優しさを捨てられないからだと
思います。」
きなこ驚く。
ホ 「５才の時、中国で別れた母を捜しています…母は日本人です。中国人の父と
東京で知り合って、結婚して向こうへ渡りました。この写真が母さんです。
勉強のためというのはウソです。本当は母を捜しに来ました。
今まで隠していて、すみませんでした。」
き 「あなた…日本と中国の…」
ホ 「ぼくは…母から生まれた…だから母のために生きている…
別れた日から…ずっと今日まで…母の…ために…
…会って…抱きしめて…欲しいんです。」
頭を下げて、その場を去るホイ
ショックを受けるきなこ。
深夜 警視庁 国際部国際二課
席に座ったまま考え込むきなこ。
机にはホイに取ってもらった、ぬいぐるみが置いてある。
き 「王凱歌なの？」
自暴自棄になり机の上にある資料の山を投げ捨てるきなこ。
10/5 終
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脚…きなこさん。もうちょっとしゃべってます。
またまたまたニキビです。
コー（竹中)もうアドリブの嵐です。
メイキングでみんな大笑いしてます。
しかも、脚本よりアドリブが採用されている
セリフがあります。
メイキングに出てきます。
最後のセリフ言った後のポーズが
シリアス演技の凱歌(ウッチャン)が可哀想なくらい
おもしろすぎます。
この着信音はどうやって決まったんでしょうか？
脚…場所が違います。
脚…コインロッカー→大野邸
脚…コインロッカーから取り出しちゃいました。
脚…この家の跡のシーンは凱歌の最初の
回想シーンで出てきます。
凱歌の記憶でないからここにまわって
きたのでしょうか？
脚…市江さん。捜しすぎ…さすが凱歌の母。
っていうか５才の写真見せて、今１８才って
言われても…なんてつっこんじゃ
野暮でしょうか？？
しかも、捜しすぎて、倒れちゃいます。
脚…大野会長のしゃべり方が偉そうです。
やっぱ初対面だから丁寧語の方が自然かな。
ノ・脚…大使館員の人結構喋ってますが
カットになってます。
脚…市江さん。まだ粘ります。
一気に大野会長と急接近する
場面があります。
脚…マザコンホイさん。ちょっとひくセリフがカット。
ホイさんの袖長いっ。腕が短いのかにゃ？
脚…他の捜査員の出番がカット。
ノ・脚…大野夫妻の会話がカット。 |